焙煎喫茶エリュズニール〜ある日の真夜中〜
ディール:「…」
ガルム :「どうしたんだディール。
なんだかとても不思議な表情をしているねぇ。
まぶたの下もぴくぴくしている。
なにかあったのかい? 」
ディール:「…夜中、お手洗いに起きて一階に降りてきて、
私はホールから明かりがもれているのに気づきました。
灯をおとし忘れただろうかと思ってちょっと覗いてみたら、
変な人がカウンターテーブルの上におしりを載せているんです。
どうしたらいいだろうかと…途方にくれてしまって…」
ガルム :「あははははっ♪それは困ったなぁ。
僕がそんな場面に出くわしても、どうしたらいいかわからないと思うよ」
ディール:「…そうでしょう…?」
ガルム :「まぁ、こっちきてすわりなよ。
コーヒーもはいってるからさぁ」
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ガルム :「知ってるかい?
ティタちゃんとリザリア、こないだ雑誌に載ったんだよ」
ディール:「ああ、そういえばそんな話を聞いたかな。
おとなしめのグラビアだとか何とか言っていたけれど…どんな雑誌なんだろう。
ガルムは知ってるの?」
ガルム :「い、いや…しらない。
断じて、けっして、こんりんざい、しらない」
ディール:「そ、そう…?」
ガルム :「ああ、しらないとも。ほんとだよ…?
…そ、それにしても、だ!
まったく、信じられないよね。
この僕をさしおいて、よくもまぁ二人だけで…」
ディール:「…ふぅん…なるほど」
ガルム :「ん?
なにがなるほどなのさ」
ディール:「あの二人がきみ抜きで雑誌に載ったことが、
ストレスになっていたんですね。
あれから、もうそろそろ半月近くたちます。
ガルムの性格からして、そろそろウップンが形になって出てくる頃です。
いきなりその格好を見たときはどうしようかと思いましたが…
とりあえず動機がわかって、少しだけ安心しました」
ガルム :「おおう…わ、わかってくれるんだねっ。
僕の気持ちをわかってくれるんだねディールっ。
すてきだ!とてもステキだぞディール!」
ディール:「…わかりました。わかりましたから、
おしりでにじりよるの、やめてくれませんか…?」
ガルム :「ぁあん、もっとなぐさめてくれよぅ。
僕だって、このむっちんむっちんのカラダで紙面を飾りたかったんだぞぅ」
ディール:「そ、そういうのをのっける雑誌なの?」
ガルム :「はぅ!
い、いや…雑誌って、そういうのとか多いだろ?
ジャンプとかマガジンとかでも載ってるだろ?
そういうのだよ、そういうの。
きっと、おそらく、たぶん、僕の勝手な予想だけどっ 」
ディール:「…ふぅーん…
……
…ところでガルム」
ガルム :「なんだい?」
ディール:「いつまでテーブルにおしりのっけてるんですか」
ガルム :「 うん?」
ディール:「そこはたべものを載せるところですよ。
お行儀悪いから、もう降りなさい」
ガルム :「ふふん。
優等生の君らしい意見だ。
しかし!
それについては、僕はなにもまちがっていないぞ。
いま、このテーブルの上にはね、
ぜひとも君に食べて欲しいものが載っているのさ。
ほら、みてごらん。この脂ののりきった超高級食材。
ちょっと搾っただけで…ほら。
今にも肉汁が滴ってきそうじゃないか。
さぁ、きみのために、愛しいきみのためだけに、
この僕が、この身を削って用意したんだ。
こころゆくまで、丁寧に丹念に、ひとくち残さず、隅から隅まで、頭の先から足の先まで、
いっさいの容赦もすることなく、堪能してくれたまえっ」
ディール:「…おしりでにじりよるの、やめてくれませんか…?」
ガルム :「ぁあん、これ、おいしいんだぞぅ。
手もつけないなんて、随分とひどいはなしじゃないか。
すききらいはよくないんだぞ、ディーるぅ」